ディオニソスの祭典

最終更新: 2019年4月17日

ゲリヴェリ ワイナリーの2019年甕開き。 今回は長くなりますよ。

先日、Lotis Blue Travelの大人の遠足と称して ゲリヴェリ ワイナリーにカッパドキア日本人仲間のチャアさんご夫婦に誘われて伺った話は書きました。

その際に、ワイナリーのオーナーであるウドさんとハジェルさんと ワインのテイスティングをさせて頂きながら沢山のよもやま話を伺って もしかしてここは天国なのか?と言う瞬間を味わった話も書きました。

その時に、ワイナリーでは4月に毎年近しい方々を招待して

甕開きとしてディオニソス・シンポジウムと言うものを開催していて そこでは、現在非売品になってしまった種類のワインも開けて 味見をするのだ、と伺いました。

前にも書いた通り、 私は長いノンアルコール時代を経て 新たにお酒との新しい関係を築こうと思っていたところです。 そんな折に、そんな機会は、まさに天命か、と 聊か大げさに、シンポジウムへのご招待のお話を聞いていました。

4月13日、いよいよ、その日。

Lotis Blue Travel盟友のセリンちゃん、チャアさん、セリンちゃんのご近所さんで地元大学で教鞭をとっていらっしゃるハティージェさん、と私。 女性四人組で、いざ、いざ、ゲリヴェリ ワイナリーへ到着しました。

我々が到着した時には既に大半の方がワイナリーのテラスで思い思いのグループを作って寛いでいらっしゃいました。 暖かな日差しの下、遠くハサンダー(ハサン山)が臨めるテラスはさざめいて既に浮き立っている空気が感じられました。

時間になって、主催のウドさんのご挨拶に続き、いつもコケティッシュなハジェルさんの指示でそれぞれがピカピカに磨かれたワイングラスを持って、ワイン蔵へと移動します。 この演出が既にワクワクの序章。

石畳を歩き、古い木製の扉を開けて見下ろすと 大きなワイン蔵に、直径1m以上ある甕が沢山並んでいます。 外のポカポカ陽気から、石積み、洞窟の中で感じるあの しっとりとした涼やかな空気の中へ。 2018年に仕込んだ甕、2016年のもの、更にその前のもの 葡萄の種類や、命名の由来や、纏わる逸話を交えながら 一つ一つ甕からデキャンタへワインが移されていきます。

今年初めて試飲する甕の前で デキャンタへ移す作業をするハジェルさんが

「ほら!みて!こんなにワインを愛する人々が集まっているのが分かったのよ! 皆の前に出てきたがっているもの、このワイン!」と声高らかに言いました。

そしてホースからデキャンタへ注ぐために屈んだハジェルさんが呟くように

「毎年この瞬間が一番興奮する。心臓が嬉しくでドキドキしてる」と言いました。 すぐ横でその作業の写真を撮っていた私にははっきりとその声が聴こえて ハジェルさんの興奮が伝播したのか、グラスを持つ手が微かに震えました。 こんな風に愛されて敬意を払われて、そして喜んで私たちの前に姿を現そうとしてる そのワインとは、どんなに幸せでどんな素敵な味がして、そしてどんな風に私たちを幸せにしてくれるんでしょう?

ここのワインは、どれも独特な味で ワインだと思って、油断していると、戻り潮にうっかり引き摺られて外海まで連れてかれちゃうみたいに、訳が分からなくなりますよ。 全ての種類が個性的で、癖がある癖に飲みやすかったり、すっきりフルーティなのにキツさがあったり、かと思えばアイスヴァインかって言う甘―いデザートワインがあったり。 一個一個イメージやテイストを覚えておこう、とか もうね、途中から、どーでもよくなってきてしまうんです。 どこまでも流されていって溺れても本望。

オペラの訓練を受けていた、と言う方が蔵の反響を上手く使って素晴らしいボーカルを披露

してくれました。喉に自慢の方がコーラスで参加します。 突然、ウドさんハジェルさんへの感謝のスピーチを始める方。 スピーチに感激して目を潤ませる方。拍手拍手ブラボー!

蔵の中には 幸せなワインの上に ディオニソスが降臨して祝福してくれているようでした。

そんな空気の一端に自分が存在してる感覚が 自分を中心にぐるっと幸せな世界を作っている感覚が ただワインに酔っただけでなく 自分を満たしています。 そこに至る全てに感謝したくなる至福感。

蔵を出て、今度は外の甕のワインの試飲が続きます。 その頃には、それぞれのグループの方々もお互いに打ち解けて 他愛なく肩を組んだり、一緒に写真を撮ったり、感想を言い合ったり 趣味の話や娘さんの話や今日履いてきた靴の話や まるで、何十年来の友人同士の様な親しさを感じていました。 ドイツ語、英語、トルコ語、私とチャアさんの間では日本語、様々な言葉で話しているのに 何だか話が通じてる不思議。 これもディオニソスの計らいだったのでしょうか。

最初に集まったテラスへ戻ると ハジェルさんが仕込んだ手作りのチーズやオリーブやペクメズや酵母パン ヤギのチーズを素焼きの壺で発酵させたハジェルさんの特製チーズ。

癖のあるワインに癖のあるチーズがなんともはや悶絶する美味しさ。

既にリラックスした空気で思い思いの持論を展開して 歌あり、詩の暗唱あり、民謡あり せっかく日本人がいるんだから日本の歌を、と言われて 流石に焦りましたが、そこは我らがチャアさん さっと「上を向いて歩こう」を唄い始めます。 慌てて追随して一緒に大声で朗唱! カラオケすら行かない私ですが、チャアさんと唄ったこの歌が なんと誇らしい気持ちにさせてくれたことか 一人だったら絶対出来なかったと思うと、チャアさんに感謝感謝。

夕刻も迫り、そろそろお暇の時間です。 名残惜しいながらも、中身がいっぱい詰まった心地よさを抱えて ワイナリーを後にしました。

次は5月に伺う予定にしています。

コケティッシュなハジェルさんの温かくオープンな心と ちょっとシニカルでそれでいて慈愛に満ち満ちたウドさん お二人の醸し出す空気が既に「醸造」そのものなのだと思います。 美しい波動には誰もが美しい波動で応えたくなる。 そりゃあ、ワインだって美味しくなるってもんです。

ワイン好きな人と また訪れたいと思います。 興味ある人はまずトルコまでの航空券確保してから連絡ください。 お待ちしております。

© 2019 Cappadocia Stories

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